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出雲大社の鳥居くぐり方|4つの鳥居と二拝四拍手一拝

縁結びの神様として知られる出雲大社への参拝は、多くの方にとって特別な体験です。せっかく訪れるのであれば、心からの願いを届け、大きなご利益をいただきたいものですよね。しかし、出雲大社には古くからのしきたりがあり、正しいお参りの仕方や独自の参拝方法のやり方、さらには二拝四拍手一拝という特殊な作法が存在します。

広大な境内には鳥居が4つあり、どの鳥居からどのような順番でくぐるべきか、4つの鳥居をくぐる順番や正しい回り方、そして参拝ルートを知らないと戸惑ってしまうかもしれません。この全体の回り方を把握するには、4つの鳥居マップが役立ちます。また、服装などの基本的な参拝ルールはもちろん、知らずにやってしまうと失礼にあたる、してはいけないこともあります。境内には3番目の鳥居がなぜ銅なのかといった興味深い歴史も隠されています。

この記事では、初めての方でも安心して完璧に参拝できるよう、出雲大社の鳥居のくぐり方をはじめとする全ての作法を、順を追って分かりやすく解説します。

この記事で分かること
  • 出雲大社の参拝前に知っておくべき基本ルール
  • 4つの鳥居を巡る正しい順番と全体の参拝ルート
  • 出雲大社特有の「二拝四拍手一拝」の作法
  • 作法に込められた意味を知り、より心に残る参拝に
目次

出雲大社の鳥居のくぐり方「参拝前に知るべき基本」

出雲大社のご利益と知っておきたい鳥居4つの意味

多くの方が良縁を願って訪れる出雲大社は、日本最古の歴史書『古事記』にもその創建が記されている、非常に格式高い神社です。主祭神である大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)は、国づくりを成し遂げた偉大な神様であると同時に、数々の神話の中で慈愛に満ちた心で多くの命を救い、様々なご縁を結ばれたことから、「縁結びの神様」として篤く信仰されています。

ここで言う「ご縁」とは、男女の恋愛関係だけを指すものではありません。仕事上の繋がり、友人関係、家族の絆、さらには学業や健康に至るまで、私たちが人生で出会うあらゆる繋がりを良い方向へ導く、広範なご利益があるとされています。このため、出雲大社への参拝は、人生のあらゆる局面で良いご縁を願う人々にとって、心の拠り所となっています。

そして、この神聖な神域へ至る道には、それぞれ異なる時代背景と意味を持つ4つの鳥居が構えられています。鳥居は、神様がおられる神聖な世界と、私たちの暮らす俗世とを分ける結界の役割を持ちます。鳥居を一つくぐるごとに、心身が清められ、神様にお会いするための心構えが整えられていくのです。

参拝の際には、勢溜(せいだまり)に立つ「石の鳥居」、参道を進んだ先にある「木の鳥居」、国の重要文化財である「鉄の鳥居」、そして拝殿前で迎えてくれる「銅の鳥居」の4つを正しい順序でくぐることが、丁寧な参拝の証とされています。それぞれの鳥居が持つ歴史の重みを感じながら、一歩ずつ神様の御前へ進むことが、心からの願いを届けるための第一歩と言えるでしょう。

4つの鳥居マップで確認する全体の参拝ルート

出雲大社の広大な境内を、敬意を払いながら迷うことなく巡るためには、事前に全体の参拝ルートを地図でイメージしておくことが非常に役立ちます。特に、4つの鳥居を正しい順番でくぐることは、出雲大社参拝の核となる部分です。

参拝は、正門にあたる勢溜の「石の鳥居(一の鳥居)」から始まります。この鳥居をくぐると、全国的にも極めて珍しい「下り参道」が続きます。多くの神社が神様がおられる高い場所へ登っていく構造であるのに対し、出雲大社では神様をお迎えするかのように下っていくのが特徴です。

下り参道を進むと「木の鳥居(二の鳥居)」が見えてきます。この鳥居をくぐった先の右手には、参拝前に自身の罪や穢れを祓い清めてくださる「祓社(はらえのやしろ)」がありますので、まずはこちらにお参りするのが丁寧な作法です。心身を清めた後、松並木が美しい参道を進むと、国の重要文化財にも指定されている「鉄の鳥居(三の鳥居)」に至ります。そして、拝殿の目前に立つ「銅の鳥居(四の鳥居)」をくぐることで、いよいよ大国主大神がお鎮まりになる中心神域へと入ります。

参考資料:文化庁 国指定文化財等データベース

この一連の流れを事前に把握しておくだけで、当日の参拝は格段に落ち着いて、心豊かなものになります。下の表に4つの鳥居の順番と特徴をまとめましたので、参拝計画の参考にしてください。

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鳥居の順番名称(通称)材質特徴
一の鳥居勢溜の鳥居出雲大社の玄関口。ここから全国でも珍しい下り参道が始まる
二の鳥居参道の鳥居勢溜から下り参道を下りきり、祓社へ向かう手前にある
三の鳥居鉄の鳥居1666年に毛利綱広によって寄進された国の重要文化財
四の鳥居銅の鳥居1667年に毛利綱広の父、輝元の遺言により寄進された

基本的な参拝ルールと絶対にしてはいけないこと

神様がお鎮まりになる神聖な場所では、私たちの敬意と感謝の心を行動で示すための、基本的なルールやマナーが存在します。これらは決して堅苦しい決まり事ではなく、参拝という非日常的な行為の効果を最大限に高め、自身の心を清める上で非常に大切な作法です。初めての方や作法に自信がない方も、一つひとつ確認すれば安心して参拝に臨めます。

服装と心構え

神様の前に進むのですから、その場にふさわしい清浄な服装を心がけるのが基本です。厳格なドレスコードはありませんが、極端に肌を露出した服装(タンクトップ、ショートパンツなど)や、だらしない印象を与えるジャージやサンダルなどは避けるのが望ましいでしょう。大切なのは「神様に失礼のないように」という敬意の心です。また、境内は神聖な祈りの場ですので、大声での会話や境内を走り回る行為、他の参拝者の迷惑となる行動は厳に慎むべきです。

参道の歩き方:正中は避ける

鳥居は神域への入り口です。くぐる際には一度立ち止まり、心を整えてから深く一礼します。これは「お邪魔します」という神様へのご挨拶です。そして、参道の中央は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様がお通りになる道とされています。私たちは神様を敬い、その道を譲るという意味で、正中を避け、参道の左右どちらかの端を歩くのが古くからの習わしです。

手水舎での作法

拝殿へお参りする前には、必ず手水舎(てみずや・ちょうずや)で心身を清めます。これは「禊(みそぎ)」という浄化の儀式を簡略化したものです。単に手や口を洗うのではなく、これまでの生活で知らず知らずのうちに付着した罪や穢れを洗い流すという意味が込められています。

  1. 右手で柄杓を持ち、水を汲み、左手を清めます。
  2. 柄杓を左手に持ち替え、右手を清めます。
  3. 再び右手に持ち替え、左の手のひらに水を受け、その水で口をすすぎます。柄杓に直接口をつけないよう注意してください。
  4. 口をすすいだ左手を、もう一度水で清めます。
  5. 最後に、柄杓を縦にし、残った水で柄の部分を洗い流してから、元の場所へ伏せて置きます。

絶対にしてはいけないこと

神域で最も避けなければならないのは、神様への不敬にあたる行為です。境内にゴミを捨てる、草木を折る、動物を傷つけるといった行為は論外です。また、個人的な祈願の際に、他人の不幸を願ったり、誰かを貶めるような内容を願うことは、神様の御心に沿いません。祈りとは、感謝と、自身の前向きな成長を誓うものであるべきです。

加えて、出雲大社では御本殿の撮影をはじめ、一部撮影が禁止されている区域があります。現地の注意書きには必ず従い、祈りを捧げている他の方へカメラを向けるといった配慮のない行動も慎みましょう。これらのルールを守ることは、ご利益を正しくいただくための最低限のマナーです。

実践!出雲大社「鳥居のくぐり方全手順」

4つの鳥居をくぐる順番が正しい回り方の鍵

出雲大社の広大な神域を巡ることは、単なる移動ではなく、それ自体が神様とのご縁を深めるための神聖な儀式です。特に、境内にある4つの鳥居を正しい順番通りにくぐることは、ご利益を最大限にいただくための重要な鍵となります。この正式な参拝ルートは、私たちの世界である俗世から、神様がおられる神域へと、段階的に心と体を清めながら進んでいく精神的な道のりを象徴しています。

一つひとつの鳥居に込められた歴史や意味を感じながら、以下にご紹介する具体的な手順に沿って、心静かに歩を進めてみましょう。

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手順鳥居具体的な回り方
1石の鳥居(一の鳥居)勢溜(せいだまり)に立つ、高さ約23メートルの巨大な石の鳥居から参拝が始まります。ここでまず深く一礼し、神域へ入るご挨拶をします。ここから続く下り参道は全国的にも珍しく、神様をお迎えする謙虚な気持ちで、参道の中央(正中)を避けて進みます。
2木の鳥居(二の鳥居)下り参道を下りきった、松の参道の始点にあります。ここでも一礼してくぐり、美しい松並木を進みます。この鳥居をくぐった先の右手にある「祓社(はらえのやしろ)」にまず立ち寄り、日々の生活で知らず知らずのうちに溜まった心身の穢れを祓い清めていただくのが、より丁寧な作法です。
3鉄の鳥居(三の鳥居)祓社からさらに進み、拝殿が見え始める手前にあります。1666年に寄進された歴史ある鳥居で、国の重要文化財にも指定されています。歴史の重みを感じながら敬意を込めて一礼し、境内の中へと進みます。
4銅の鳥居(四の鳥居)拝殿の目の前に立つ、荘厳な最後の鳥居です。この鳥居をくぐれば、いよいよ大国主大神がお鎮まりになる最も神聖な領域に入ります。これまでの道のりで整えられた清らかな心で、最後にもう一度深く一礼し、拝殿へと向かいます。

この順番は、俗世から神聖な領域へと段階的に進んでいく、古来からの参拝の形を示しています。一つひとつの鳥居を丁寧に、そして敬意を持ってくぐることが、心からの祈りを神様へ届けるための大切なプロセスとなります。

【お参りの仕方】二拝四拍手一拝の参拝方法とやり方

出雲大社の拝礼作法は、他の多くの神社で一般的な「二拝二拍手一拝」とは異なり、「二拝四拍手一拝(にはいよんはくしゅいっぱい)」が正式な作法とされています。この独特の作法は、初めて参拝する方にとっては少し戸惑うかもしれませんが、その背景にある深い意味を理解することで、より一層心を込めたお参りができます。これは出雲大社ならではの、神様への最大限の敬意を表すための、非常に大切な参拝方法です。

なぜ拍手の数が四回なのかについては諸説ありますが、現在でも宮司が代替わりする際に行われる神事や、年に一度の例大祭(勅祭)では、無限の敬意を表す「八拍手」が行われていることに由来すると言われています。この八拍手を半分にした四拍手が、一般の参拝作法として定着したとされています。また、古来より「八」は末広がりで縁起の良い無限の数を意味し、その心を込めているとも考えられます。この作法の詳細については、出雲大社の公式サイトでも解説されています。

参考資料:出雲大社 公式サイト「よくあるご質問」

二拝四拍手一拝の具体的なやり方

以下に、具体的な手順を解説します。一つひとつの動作を丁寧に行いましょう。

  1. 二拝(深いお辞儀を二回)
    • まず神前に進み、背筋を伸ばして姿勢を正します。そこから腰を90度に曲げる、最も丁寧な拝を二回繰り返します。
  2. 四拍手(柏手を四回)
    • 胸の高さで両手を合わせますが、この時、右手の指先を左手の第一関節あたりまで少し下にずらします。これは、神様と一体になる前の段階を示しているとされます。この状態で、四回、柏手を打ちます。
  3. 祈念(心を込めて祈る)
    • 四回拍手を打ち終えたら、ずらしていた右手の指先を左手にぴったりと合わせます。これは神様と一体になったことを意味します。指先を揃えたまま、日頃の感謝と自身の願い事を心の中で静かに祈ります。
  4. 一拝(最後にもう一度深いお辞儀)
    • 祈り終えたら、手を下ろし、最初と同じように深いお辞儀を最後にもう一度行います。

この一連の動作を、心を込めて丁寧に行うことが大切です。最初は戸惑うかもしれませんが、この作法は出雲大社の神様への特別な敬意の表れです。事前にやり方を覚えて、自信を持ってお参りしましょう。

【豆知識】3番目の鳥居はなぜ銅なのか

参拝ルートを進む中で、それぞれの鳥居が異なる材質で作られていることに気づくでしょう。特に、歴史の重みを感じさせる金属製の鳥居は、当時の人々の篤い信仰心を今に伝えています。見出しでは「3番目の鳥居」とありますが、正確には参拝ルートの4番目にある鳥居が銅製で、その手前にある3番目の鳥居が鉄製です。これらは共に国の重要文化財に指定されています。

3番目の「鉄の鳥居」は、江戸時代前期の1666年に、長州藩主であった毛利綱広によって寄進されました。現存する鉄製の鳥居としては、日本で最も古いものの一つと言われています。

そして4番目の「銅の鳥居」は、その翌年の1667年に、綱広の父であり戦国武将としても名高い毛利輝元の遺言によって寄進されたと伝えられています。当時は平和な世の中であった江戸時代初期にあたり、各地の大名は自らの権勢と信仰心を示すために、このような大規模な寄進を盛んに行いました。鉄や銅といった貴重な金属で巨大な鳥居を造ること自体が、非常に稀で価値のあることだったのです。

これらの鳥居が建立されてから実に350年以上もの間、数え切れないほどの参拝者を見守り続けてきた歴史の証人です。材質の違いに注目し、その背景にある人々の祈りや信仰の深さに思いを馳せることで、参拝がより一層感慨深いものになるでしょう。

まとめ|出雲大社 鳥居 くぐり方の要点

  • 出雲大社の主祭神は大国主大神で縁結びの神様
  • 参拝ルートには石、木、鉄、銅の4つの鳥居がある
  • 4つの鳥居を全て正しい順番でくぐることが大切
  • 鳥居をくぐる際は立ち止まり神様への敬意を込めて一礼する
  • 参道の真ん中は神様の通り道なので歩かないこと
  • 全国でも珍しい下り参道は神様をお迎えする道
  • 手水舎では左手、右手、口、柄の順番で正しく身を清める
  • 服装は神様への敬意を示し清潔感のある落ち着いたものを選ぶ
  • 拝殿での作法は他の神社と違う「二拝四拍手一拝」が正式
  • 四拍手は無限の敬意を表す八拍手に由来するとされる
  • 拍手の際は右手を少し下にずらすのが特徴的な作法
  • 境内での大声での会話や走り回る行為は厳に慎む
  • 写真撮影が禁止されている場所ではルールを必ず守ること
  • 事前に全体の参拝ルートを地図で確認しておくと安心
  • 作法の一つひとつに込められた意味を理解し心を込めて参拝する

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