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日光東照宮階段の数はなぜ207段?意味や場所を完全ガイド

日光東照宮を訪れる多くの人が関心を寄せる、奥宮へと続く石段。この歴史ある日光東照宮階段の数について、具体的に全部で何段あるのか、そしてその石段のどこにあり、登るのはどれくらいきついのか、といった疑問をお持ちではないでしょうか。さらに、ただ登るだけでなく、その石段の意味や、階段を上ると何があるのか、徳川家康公が眠る奥宮の荘厳な雰囲気まで、深く知ることで旅は一層思い出深いものになります。この記事では、あなたのそんな知的好奇心に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。

この記事で分かること
  • 階段の正確な段数と境内での具体的な場所
  • 階段を登る際の所要時間や体感的な大変さ、適切な服装
  • 207段という数に込められた歴史的な意味や背景
  • 階段を登りきった先にある奥宮の様子と見どころ
目次

日光東照宮階段の数の基本情報と登り方

眠り猫の先!境内のどこにある?

日光東照宮の奥宮へと続く階段は、有名な国宝「眠り猫」が彫られた坂下門(さかしたもん)をくぐった先にあります。参拝の順路としては、表門から入り、陽明門を通り抜けて御本社を参拝した後、その東側に位置する回廊を進んだ突き当りが坂下門です。陽明門周辺からであれば、ゆっくり歩いて5分ほどの距離感です。

多くの参拝者で賑わう御本社周辺の絢爛豪華な雰囲気から一転し、坂下門をくぐると空気は少しひんやりと、静かで神聖なものに変わります。これは、俗世の空間と徳川家康公が眠る神域とを分ける結界の役割をこの門が担っているためです。眠り猫の小さくも精巧な姿に平和への祈りを感じた後、振り返ると目の前に現れるのが、樹齢数百年の杉木立の中に吸い込まれるように続く石段です。この劇的な空間演出は、参拝者の心を自然に引き締め、神君と対面するための心構えを促す巧みな設計と言えるでしょう。

この石段は、徳川家康公が眠る最も神聖な場所「奥宮」へと至る唯一の参道です。そのため、境内の中でも特に厳かで清浄な空気が流れる場所に位置しています。初めて訪れる方でも、境内各所に設置された「奥宮」方面への案内表示に従って進めば、迷うことなくたどり着くことができますのでご安心ください。

全部で何段?正確な数を解説

日光東照宮の奥宮へと続く階段は、全部で207段あります。この数字は、多くの公式な案内や現地の説明でも示されている確定した数であり、参拝者にとって一つの目標ともなっています。

この石段が建築物として特異なのは、その堅牢かつ緻密な構造にあります。多くの階段と異なり、参拝者が一息つくための踊り場が一切設けられていません。そして最も驚くべきことに、階段の踏み石はすべて一枚の巨大な岩から切り出して造られています。これは「延石(のべいし)」と呼ばれる高度な技法で、石の継ぎ目をなくすことで雨水の侵入による劣化を極限まで防ぎ、数百年という時間にも耐えうる永続性を実現しています。

この独特の構造は、神君・徳川家康公の墓所へと続く参道を、一切の妥協なく完璧なものとして造り上げた当時の人々の強い意志と、世界最高水準にあった石工技術の高さを物語っています。一段あたりの高さは約15cm、奥行きは約30cmと比較的緩やかですが、幅が狭く連続して続くため、数字以上の存在感を放っています。この石段は、三代将軍家光公による「寛永の大造替」の際に現在の形に整備されたと伝わっており、まさに徳川幕府の威信をかけた大事業の一部でした。

きつい?服装と注意点を解説

階段が207段あると聞くと、体力的に登れるか不安に思う方も少なくないでしょう。この石段は、普段あまり運動をしない方にとっては、やや「きつい」と感じられる可能性が高いです。一般的に200段の階段昇降は、平地のウォーキングの約3倍の運動強度があるとされ、短い距離ながらも心拍数が上がりやすい運動であることを念頭に置いておくと良いでしょう。

体感的な大変さと所要時間

踊り場がないため、自分のペースを保ち、必要であれば立ち止まって呼吸を整えながら登ることが大切になります。急いで登ると息が切れやすいため、ゆっくりと一歩ずつ踏みしめるように進むのがおすすめです。所要時間は個人差が大きく、日常的に運動をしている方で5分程度、運動習慣のない方やお年寄り、お子様連れの場合は途中で小休止を挟みながら10分から15分ほど見ておくと安心です。

服装と靴に関するアドバイス

最も重要なのは足元です。歴史ある石段は表面が摩耗している箇所もあり、雨の日やその翌日は特に滑りやすくなるため、ヒールのある靴や底が平らなサンダルは非常に危険です。スニーカーやトレッキングシューズなど、歩きやすく靴底にしっかりと溝がある靴が最適です。服装は、体温調節がしやすいように、着脱可能な上着があると便利です。汗をかくことも考え、吸湿速乾性に優れたインナーを選ぶと、汗が気化する際の気化熱で体温が奪われるのを防ぎ、快適さを保つことができます。

訪問時の注意点

特に週末や連休の午前10時から午後2時頃は最も混雑し、階段が狭いため譲り合っての通行が求められます。ゆっくりと自分のペースで登りたい方は、朝一番の開門直後や閉門に近い午後の時間帯を狙うのがおすすめです。また、坂下門の先には自動販売機などはありませんので、特に夏場は事前に水分を確保しておくことが熱中症対策の観点から不可欠です。体調が優れない場合は決して無理をせず、坂下門で引き返す勇気も必要と考えられます。

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項目推奨されるもの避けるべきもの理由
スニーカー、ウォーキングシューズヒール、革靴、サンダル滑りにくく、足への負担が少ないため
服装動きやすいパンツスタイル、重ね着タイトスカート、動きにくい服装安全性の確保と体温調節を容易にするため
持ち物飲み物、汗拭きタオル大きすぎる荷物、傘(混雑時)体調管理と周囲への配慮のため

日光東照宮階段の数に隠された歴史と意味

なぜ207段?意味と歴史的背景

日光東照宮の奥宮へ続く階段がなぜ「207段」なのか、その正確な理由は公式の記録には残されておらず、いくつかの説が存在します。これらの説を知ることで、参拝者が踏みしめる一歩一歩が、より深い意味を持つように感じられるでしょう。

一つの有力な説として、易経や陰陽五行思想に基づいているという考え方があります。日光東照宮全体が、江戸城の真北(玄武)に位置し、北極星を神格化した徳川家康公を祀るという壮大な宇宙観に基づいて設計されていることはよく知られています。この思想では、陽数(奇数)は縁起が良いとされ、重要な建築物には陽数が多用されました。207という数字も、その構成や総和(2+0+7=9)が陽の極数である「9」になることから、意図的に選ばれた吉祥の数である可能性が指摘されています。

また、神道、仏教、そして陰陽道が融合した当時の宗教観の中で、特定の経典や教えに基づく象徴的な数字であった可能性も考えられます。創建当時は異なる段数であったものが、後の改修で現在の数に落ち着いたという説もありますが、この石段が一枚岩から削り出す「延石」という技法で作られていることを踏まえると、後から段数を調整することは極めて困難です。そのため、建立当初から「207段」として精密に設計されたと考えるのが妥当でしょう。

明確な答えが提示されていないからこそ、この207段という数字は400年の時を超えて人々の想像力をかき立てます。訪れる者一人ひとりが、この数字に込められた意味を想像しながら石段を登ること、それ自体が家康公との精神的な対話となるのかもしれません。

上ると何がある?家康が眠る奥宮

207段の石段を登りきった先には、日光東照宮の中で最も神聖にして静謐な場所とされる「奥宮(おくみや)」が広がっています。そこは、徳川家康公の御遺骸が祀られている場所であり、下界の喧騒から完全に切り離された、荘厳な空気に満ちています。周囲を囲む樹齢数百年の杉木立が音を吸収し、聞こえるのは風が木々を揺らす音と、時折鳴らされる銅鑼の澄んだ音色のみ。ひんやりと澄み渡った空気は、深い鎮守の森に抱かれていることを実感させてくれます。

奥宮拝殿

まず目に入るのは、黒漆喰と金で装飾された、質実剛健な造りの「奥宮拝殿(おくみやはいでん)」です。陽明門や御本社の絢爛豪華な色彩とは対照的に、落ち着いた雰囲気が特徴で、これは「神となった後は質素に祀られたい」という家康公の遺言を反映しているとも言われています。ここで参拝者は、日本の礎を築いた偉大な神君に祈りを捧げます。

鋳抜門と御宝塔

拝殿の奥には、国の重要文化財である「鋳抜門(いぬきもん)」が厳かに構えています。この門は、門全体が一体で鋳造された青銅製であり、当時の鋳造技術の高さを現代に伝える貴重な遺構です。そして、この門の先に鎮座するのが、御祭神である家康公の神柩を収めた「御宝塔(ごほうとう)」です。高さ約5メートル、八角九層のこの青銅製の塔は、当初は木造でしたが、5代将軍綱吉公によって現在の姿に造り替えられました。塔の前に立つと、400年以上にわたって日本の平和を見守り続けてきた家康公の偉大な存在を、時を超えて間近に感じることができます。

参考資料:文化庁 国指定文化財等データベース

叶杉

御宝塔のすぐそばには、圧倒的な存在感を放つ巨大な杉の木「叶杉(かなうすぎ)」がそびえ立っています。樹齢は約600年とされ、その根元にある祠に向かって願い事を唱えると、その願いが叶うという言い伝えがあります。長年の風雪に耐えてきた巨木の生命力にあやかろうと、多くの人々がここで静かに手を合わせる、強力なパワースポットです。

207段の石段を踏みしめるという行為は、単なる移動ではなく、徳川家康公という偉大な存在と対面するための、心を整える儀式とも言えるでしょう。その先に待っているのは、歴史の重みと自然の生命力に満ちた、日常では決して味わうことのできない深い内省の時間です。

日光東照宮階段の数の知識で参拝を深く楽しむ

日光東照宮の階段について解説した重要なポイントを以下にまとめます。

  • 奥宮へと続く階段の正確な数は全部で207段です
  • 場所は国宝「眠り猫」がある坂下門をくぐったすぐ先です
  • 階段は一枚岩から造られており途中に踊り場がありません
  • 普段運動不足の方にはやや「きつい」と感じられる傾斜です
  • 登る際の所要時間はゆっくり歩いて10分から15分が目安です
  • 足元はスニーカーなど歩きやすく滑りにくい靴が必須です
  • 体温調節がしやすいように重ね着できる服装が推奨されます
  • 207段という数字の意味は公式には明言されていません
  • 陰陽五行思想などに基づいた吉祥の数という説があります
  • 階段を登りきった先には最も神聖な場所「奥宮」があります
  • 奥宮には徳川家康公の御遺骸を祀る御宝塔が鎮座します
  • 黒を基調とした荘厳な奥宮拝殿で参拝することができます
  • 願いが叶うとされるご神木「叶杉」も奥宮の見どころです
  • 階段周辺は神聖な場所なので静かに参拝するのがマナーです
  • これらの知識を持つことで参拝がより深い体験になります

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