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京都の梟の手水鉢めぐり!清水寺と曼殊院の見どころ

京都旅行の計画中に「梟の手水鉢」というキーワードを見つけ、そのユニークな名前に興味を惹かれた方も多いのではないでしょうか。しかし、調べてみると、有名な梟の手水鉢の場所として清水寺と曼殊院の両方の名前が挙がり、一体どこにあるのか混乱してしまうことが少なくありません。

この記事では、そんなあなたの疑問を解消します。京都に存在する2つの梟の手水鉢について、それぞれの場所や特徴、石川五右衛門との関係、さらには清水寺や曼殊院の見どころまで、全ての情報を整理して分かりやすく解説します。

この記事で分かること
  • 京都に2つある有名な梟の手水鉢の場所と特徴
  • 清水寺と曼殊院、それぞれの歴史と由来の違い
  • 石川五右衛門の伝承など、手水鉢にまつわる物語
  • 各寺院の見どころと合わせて楽しむ観光プラン
目次

京都に伝わる梟の手水鉢の謎【2つの場所を解説】

京都にある有名な手水鉢は2種類ある

「梟の手水鉢」という魅力的な響きに惹かれて情報を探し始めたものの、清水寺と曼殊院という二つの寺院名が浮上し、戸惑いを感じていらっしゃるかもしれません。同じ名前で呼ばれているため、「どちらかが本物なのだろうか」「場所が移されたのだろうか」といった疑問が浮かぶのはごく自然なことです。

まず明確にしておきたいのは、京都で広く知られる「梟の手水鉢」は、2箇所にそれぞれ独立して存在する、全くの別物であるという事実です。

一つは、世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一つであり、国内外から多くの観光客が訪れる東山区の「音羽山 清水寺」。そしてもう一つは、皇族や公家が住職を務めた「門跡寺院(もんぜきじいん)」という極めて格式の高い寺院であり、洛北の静寂な地に佇む左京区の「曼殊院門跡」にあります。

この二つの手水鉢は、その成り立ちから魅力まで、実に対照的です。清水寺のものは、伝説の大盗賊・石川五右衛門にまつわる歴史ロマンあふれる「物語」がその価値の中核を成しています。対して曼殊院のものは、自然の石が持つ形を活かした「造形美」そのものが芸術品として高く評価されています。

この記事では、それぞれの特徴と文化的背景を丁寧に解き明かし、あなたがどちらの梟に会いにいくべきか、その判断のお手伝いをいたします。

それぞれの由来と歴史的背景

清水寺と曼殊院、二つの梟の手水鉢が持つ物語は、その寺院が歩んできた歴史や文化を色濃く反映しています。単に形を眺めるだけでなく、その背後にある物語を知ることで、手水鉢はより一層、私たちの心に深く語りかけてくるでしょう。

清水寺:石川五右衛門の寄進伝承

清水寺の梟の手水鉢は、重要文化財にも指定されている「轟門」をくぐってすぐ左手という、多くの参拝者が行き交う場所にあります。この手水鉢の価値を特別なものにしているのが、安土桃山時代に天下人・豊臣秀吉に反抗したとされる伝説の大盗賊、石川五右衛門が寄進したという伝承です。

権力者に立ち向かい、富める者から盗み貧しき者に分け与えたという義賊のイメージで語られることもある石川五右衛門。彼がどのような思いでこの手水鉢を観音様へ奉納したのか、その真偽を確かめる術は現代にはありません。しかし、歴史の真偽を超えて、この逸話は多くの人々の想像力を掻き立て、歴史ロマンの象徴として語り継がれてきました。手水鉢自体は飾り気のない素朴な石造りですが、その背景にある壮大な物語こそが、この手水鉢の最大の魅力と言えるでしょう。

曼殊院「自然石の造形美と徳川家光の逸話」

一方、曼殊院の梟の手水鉢は、その芸術性の高さで知られています。大書院から続く小書院の縁先に静かに佇むこの手水鉢は、人の手を極力加えずに自然石の形状を活かして作られています。そのふっくらとした有機的なフォルムが、まるで森の賢者である梟がうずくまっている姿を彷彿とさせることから、いつしか「梟の手水鉢」と呼ばれるようになりました。

この手水鉢の価値を物語る上で欠かせないのが、江戸幕府三代将軍・徳川家光にまつわる有名な逸話です。当代随一の文化人でもあった後水尾天皇の皇子、良尚法親王が住職を務めていた時代、家光はこの手水鉢をたいそう気に入り、当時桂離宮にあった名品「古市の燈籠」との交換を強く望んだとされています。しかし、良尚法親王はこの天下人からの申し出を丁重に断ったと伝えられています。この逸話は、この手水鉢が単なる石ではなく、最高の美意識を持つ人々によってその価値を見出され、大切に守られてきた稀有な芸術品であることを雄弁に物語っています。

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項目清水寺の梟の手水鉢曼殊院の梟の手水鉢
場所京都市東山区(轟門付近)京都市左京区(小書院縁先)
特徴素朴な石造りの手水鉢自然石を活かした芸術的な造形
由来・伝承石川五右衛門が寄進したという伝承形が梟に似ていることから命名
関連人物石川五右衛門徳川家光、良尚法親王
魅力歴史ロマン、伝説の舞台造形美、わびさび、芸術性

2つの梟の手水鉢を徹底比較!見どころとアクセス

石川五右衛門ゆかりの清水寺の見どころと場所

多くの参拝者で賑わう清水寺は、その活気ある雰囲気の中で歴史的な伝説に触れることができるのが大きな魅力です。特に石川五右衛門ゆかりの「梟の手水鉢」は、境内でも特に立ち寄りやすい場所にあり、気軽にその物語の一端に触れることができます。伝説に思いを馳せながら、壮大な境内を散策する時間は、京都観光の忘れられない思い出となるでしょう。

梟の手水鉢の具体的な場所

手水鉢への道のりは、まず朱塗りの壮大な「仁王門」から始まります。そこから西門と、国内最大級の高さを誇る三重塔を左手に見ながら参道を進むと、本堂へと至る最後の門である「轟門(とどろきもん)」が見えてきます。この轟門は、それ自体が重要文化財に指定されている重要な建造物です。

梟の手水鉢は、この轟門をくぐってすぐ左手に、静かに設置されています。本堂へ向かうほぼ全ての参拝者が通るメインの動線上にあるため、意識していれば見逃すことはまずありません。多くの人々がここで足を止め、その素朴な佇まいと背景にある壮大な伝説に思いを馳せ、記念写真を撮っています。

清水寺の基本情報と見どころ

「音羽山 清水寺」として知られるこの寺院は、778年に僧延鎮によって開創されたと伝わる、非常に長い歴史を持つ寺院です。1994年には「古都京都の文化財」の一つとして、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。梟の手水鉢を鑑賞した後は、ぜひ広大な境内が誇る数々の見どころを巡ってみてください。

参考資料:UNESCO World Heritage Centre『Historic Monuments of Ancient Kyoto (Kyoto, Uji and Otsu Cities)』

  • 清水の舞台
    • 「清水の舞台から飛び降りる」ということわざの語源にもなった本堂の舞台は、あまりにも有名です。錦雲渓の断崖にせり出すように建てられており、その高さは実に13メートル、4階建てのビルに相当します。驚くべきことに、この巨大な構造物は釘を一本も使わず、「懸造(かけづくり)」と呼ばれる伝統的な木工技術だけで支えられています。舞台から見渡す京都市街のパノラマは、四季折々の美しさを見せる絶景です。
  • 音羽の滝
    • 清水寺の寺名の由来ともなった、創건の起源とされる霊泉です。3筋に分かれて流れ落ちる清水は、それぞれ「学業成就」「恋愛成就」「延命長寿」のご利益があると信じられています。この清らかな水を求めて、国内外から多くの参拝者が絶えず列を作っています。
  • 三重塔
    • 高さ約31メートルを誇る、国内最大級の規模を持つ三重塔です。桃山様式の絢爛な極彩色が施された姿は清水寺の象徴的存在であり、特に夕日に染まる時間帯の美しさは格別です。重要文化財に指定されており、その内部には大日如来像が祀られています。
項目内容
拝観時間6:00~18:00 (夏期は18:30まで、夜間特別拝観時は変更あり)
拝観料大人:400円、小中学生:200円
アクセス市バス「五条坂」または「清水道」下車、徒歩約10分

※拝観時間や料金は変更される場合があるため、訪問前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

芸術的な曼殊院の見どころと庭園美

東山の喧騒から離れた洛北の地に佇む曼殊院は、清水寺の賑わいとは対照的に、静寂と洗練された王朝文化の美意識が隅々まで息づく空間です。こちらの「梟の手水鉢」も、その静謐な環境の中で、心を落ち着けてじっくりと向き合うことができます。

梟の手水鉢の具体的な場所

手水鉢は、大書院から渡り廊下で結ばれた「小書院(こしょいん)」の縁先に、まるで庭園の一部であるかのように自然に置かれています。拝観者は書院に上がり、ガラス戸などを隔てることなく、その芸術的な造形美を間近で鑑賞することが可能です。縁先に座り、国の名勝に指定された枯山水庭園を眺める中で、この手水鉢の姿を見つける時間は、まさに禅的な体験と言えるでしょう。周囲の静けさと庭園の美しさが、手水鉢の持つわびさびの魅力を一層引き立てます。

曼殊院の基本情報と見どころ

曼殊院は、皇族や五摂家の子弟が住職を務めた「門跡寺院」という非常に格式高い寺院です。そのため、その建築や庭園、什宝物には、江戸時代初期の宮廷文化の粋が凝縮されています。

  • 枯山水庭園
    • 小書院の前に広がるこの庭園は、小堀遠州の作庭と伝えられ、国の名勝に指定されています。白砂で水の流れを、霧島つつじの刈り込みと五葉松で鶴島・亀島を表現したこの庭は、限られた空間の中に壮大な自然観を見事に描き出しています。静寂の中で庭と向き合えば、時間が経つのを忘れてしまうほどの深い思索へと誘われます。
  • 大書院
    • 狩野派の巨匠、狩野探幽が描いたとされる襖絵「富士山図」「三保の松原図」や、精緻な細工が施された欄間の透かし彫りなど、日本の美意識の結晶ともいえる意匠で満たされています。一つ一つの調度品や建築部材に、最高の職人技と洗練された美意識が込められています。
  • 幽霊の掛け軸
    • 円山応挙の弟子、大應(または応瑞)が描いたとされる「幽霊図」は、曼殊院が所蔵する有名な什宝物の一つです。日本の伝統的な幽霊画の特徴である「足がない」姿で描かれ、どこか物悲しくも、見る角度によっては微笑んでいるようにも見える不思議な表情が、多くの拝観者の関心を集めています。
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項目内容
拝観時間9:00~17:00(受付は16:30まで)
拝観料大人:600円、高校生:500円、小中学生:400円
アクセス市バス「一乗寺清水町」下車、徒歩約20分

※拝観時間や料金は変更される場合があるため、訪問前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

あなたに合う梟の手水鉢はどっち?【まとめ】

この記事では、京都に存在する2つの「梟の手水鉢」について、その場所や由来、周辺の見どころを詳しく解説してきました。最後に、旅の計画を立てるためのポイントをまとめます。

  • 有名な梟の手水鉢は京都に2つ存在している
  • 清水寺と曼殊院門跡にそれぞれ設置されている
  • 2つの手水鉢は見た目も由来も全くの別物である
  • 清水寺の手水鉢は石川五右衛門の寄進と伝わる
  • 大盗賊の伝説に触れたいなら清水寺がおすすめ
  • 清水寺では轟門のすぐ近くで手水鉢を見られる
  • 曼殊院の手水鉢は自然石の形が梟に見えるもの
  • 徳川家光が欲しがったという逸話が残っている
  • わびさびや造形美に関心があれば曼殊院が良い
  • 曼殊院では小書院の縁先で静かに鑑賞できる
  • 清水寺は多くの観光客で賑わう活気あるお寺
  • 曼殊院は静寂の中で庭園と建築美を楽しめる
  • 歴史ロマンを求めるなら清水寺を訪れてみよう
  • 静かな時間を過ごしたいなら曼殊院が適している
  • この記事を参考に目的に合わせて訪問先を選ぼう

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